不適切な保育は今も0じゃない
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読もうとしてくれいるあなたの状態は
・あれって行き過ぎた指導なんじゃない?などの疑問を感じていたり
・私の対応って不適切な保育かもしれない
こんな感じでしょうか?
私も資格を取っただけで現場に入った当初は、
・やり方が分からないばかりに子どもに怒鳴ってしまったり
・疑問を持ちつつも「これが普通なのか」
あなたの気持ちよく分かります。
![](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/03/笑う.png)
経験20年の理系保育士
ジャムです。
セラピストでもある私(プロフィール)(@jamgakudoツイッター)の視点から、
【不適切保育や行き過ぎた指導があったとき、私はどうしたらいいの?】←今回はこれを解決していこうと思います。
この場合問題の本質は
●不適切保育になってしまう理由はいくつかあるけど、慣れてしまうと理由関係なくなること。
●理由が①余裕のなさ、②スキルや知識の低さの2軸、個人レベルでできることが少ないこと。
それでも状況を好転させるには
やれることがあります。
この記事を読むと、あなたの漠然とした悩み解決の糸口をつかめると思います。
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![刑務所](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/06/chain-link-690503_640-150x150.jpg)
1.行き過ぎた不適切指導の定義はこちら。常態化してそのうち理由関係なくなっちゃうのが大問題
2020年に厚生労働省が全国調査したときの定義があります
不適切な保育の行為類型:
不適切な保育の具体的な行為類型としては、例えば、次のようなものが考えられる。① 子ども一人一人の人格を尊重しない関わり
② 物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけ
③ 罰を与える・乱暴な関わり
④ 子ども一人一人の育ちや家庭環境への配慮に欠ける関わり
⑤ 差別的な関わり
令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業不適切な保育に関する対応について(PDF)
具体的にすると虐待の4つ
身体的、心理的、性的、ネグレクト
このどれかに入ってきます。
![](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/03/思案.png)
特にあいまいな、
心理的虐待が多いと思います
虐待を知ってる保育士が、それをやっちゃうのは闇が深い。
より具体的に書くと
- 程度の差はどうあれ叩く
- 必要のない過度な拘束
- おやつやご飯をあげない
- むりやり食べさせる
- 外に出して中に入れない
- 短絡的に外に出さない
- どこかに閉じ込める
- 威圧するように怒鳴る
- 人前でひどく叱る
- 変なペナルティ
- 細かいことで釣り合わないくらい過剰に叱られる
- 子どもの前で他の子をしつように叱る
- 別の保育士を面前DVバリに叱る
- 叩く真似をして脅す
- 遊ばせない
- やっつけるようにして叱り逃げ場がない
- 人格を否定する言葉をかける
- 泣き叫んでいても無視する
- 本人に任せすぎて世話をしない
- タブレット与えて放置
心理的な暴力も含まれるから、単に叩いていないからセーフじゃありません。
「大人に同じことをしたら犯罪となるもの」といえば分かりやすいかも。
●たたく → 傷害罪
●威圧する → 脅迫罪
●拘束 → 監禁
●無理やり何かをさせる → 強要罪
●見せしめにする → 名誉毀損
![](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/03/161313.jpg)
子どもがするような
ダメなことなんてしないよ。
こんな屁理屈は通りません。
まあ昔はダメな行為もまかり通ってたけど、時代が違います。
一旦そのやり方が肯定されるか、
否定されないかでまかり通ると、
慣れて普通になってしまうのが不適切保育の深い闇です。
WHOのチャイルド・マルトリートメント
(Child Maltreatment)の定義は、身体、精神、性虐待そしてネグレクトを含む児童虐待をより広く捉えた、虐待とは言い切れない大人から子どもへの発達を阻害する行為全般を含めた不適切な養育を意味します。
つまり、虐待とほぼ同義ですが、「子どものこころと身体の健全な成長・発達を阻む養育をすべて含んだ呼称」であり、
大人の側に加害の意図があるか否かにかかわらず、また、子どもに目立った傷や精神疾患が見られなくても、行為そのものが不適切であれば、それは『マルトリートメント』と言えます。
母子健康協会
![怒られてなく](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/05/4411070_s-150x150.jpg)
2.不適切指導が起きる理由は2つの軸があるけど、あなたの立場でできる対策をするしかない
子どもが好きで集まってきた大人が働いてる職場なのに、
行き過ぎた指導なんかが「それで良し」となっちゃうには、それなりの理由があります。
さっきの調査でわかりやすい表があったので引用します。
![不適切保育のできる理由](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/06/Screenshot_20210613-170702_Office.jpg)
①知識などの個人的なスキル
②職場の余裕などの環境
施設により違うけど、
この2つ軸のどこかに理由があります。
放置しておくと理由なんてどうでも良くなっちゃうのですが、
原因となる理由を2つの軸とも取り除ければ、
不適切指導から脱出できます。
個人として取り組めることは少ないけれど、
主に知識を入れる軸でなら動くことができます。
あなたの立場によっては
環境面にも働きかけられるかもしれません。
![掲示](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/06/4743519_s-150x150.jpg)
3.余裕のなさが原因の場合、職員個人レベルでやれることは少ない。働き方を変えるか転職
もともとの不適切保育が始まってしまった理由が
環境的な問題9割とかだと、
さすがに職員個人レベルではやれることは
ほとんどありません。
だめと分かっていても、
余裕がなさすぎてイライラしてるの、
どうにもならないですね。
それこそ自治体や施設運営者が考えるべきことです。
その運営がダメなら、
既にあなたの影響の輪の外のことなのです。
パワハラ職場やいじめてくる
ダメ上司などの記事で書いた対策と同じ。
あなたが安定していないと保育なんてできないので、安定できる別の職場を探す一択。
残念ですが。
そこで奮闘して燃え尽きたとしても、誰も得はしません。
![燃え尽きた](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/06/2277787_s-150x150.jpg)
4.慣習への囚われや懲戒権の曲解は、個人発信でも変えられる可能性大
不適切保育のもう一つの軸、
保育士としての子どもの人権や適切な保育についての知識不足や、やり方が分からない
これがそもそもの理由なら、
個人で動いても改善の可能性が出てきます。
理解ある上司や仲間と協力すれば
大幅な改善も望めるでしょう。
理解の面で、年配の保育士がよくしている勘違いが、懲戒権に関係すること。早い話がしつけとお仕置きのこと。
懲戒権、つまり子どもに教えるためのお仕置きしてもいい権利みたいのは、保育士にはありません。
民法では親権者と、別の法律で学校教員に認められているだけ。
親権者の懲戒権は民法で決まってます。
・第820条(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
・第822条(懲戒)
親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
"子の利益のために"ってのが平成24年の改正で追加。
でも懲戒の範囲がどこまでか、まだ明確化が途中です。
民法注釈書である新版注釈民法(25)には👇️
「懲戒のためには、しかる・なぐる・ひねる・しばる・押入れに入れる・蔵に入れる・禁食せしめるなど適宣の手段を用いてよいであろう(後略)」
明治時代の民法が引き継がれてる様子。
![](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/03/8736832.jpg)
お仕置きするのは違法ですよ。
とかをミーティングの場で、資料付きで発信したり。
子どもが泣き叫んてるときは「タイムアウト」とかのテクニックを紹介したり、
子ども対応の研修に出させてもらって内容をシェアしたり、できる取り組みは色々あります。
![休み](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/06/table-4566563_640-150x150.jpg)
5.上司や運営者の問題は2パターンだけどやれることは同じ
不適切保育や行き過ぎた指導が特に改善しにくいのが、上の立場の保育士の理解不足や横暴のパターン。
●施設トップが指導不足で現場主任なんかが勝手にしてるとか、
●トップ自身が独裁的で横暴なケース。
どちらにしてもやれることは同じ。
パワハラ記事で書いたような
- 外部に相談
- 証拠集め
- 内部の最上部に相談または内部告発または転職
この流れになります。
不適切保育は厚生労働省のガイドラインにも違反するので、認可なら自治体の調査が必ず入ります。
無認可だとしても児童虐待は児童福祉法違反なので、どちらにしても調査が入ります。
内部告発して運営を一掃したら、
家族経営の保育施設なんかは潰れるけど、
そこまでしても、あなたが得るものはありません。
できることをやってサッサと転職するが、
あなたの人生を考えたら賢い選択だと思います。
(個人的な意見です)
【園長/主任からのパワハラ】ひどい対応が日常的な場合の解決手順
6.厚生労働省の2020年の不適切保育の調査〜参考程度に紹介
2020年度に不適切保育の全国調査が厚生労働省主体で行われました。
PDF100ページありますが、正味は30ページくらい。時間があれば目を通すと動向がわかります。
令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業不適切な保育に関する対応について(PDF)
概要だけ紹介すると
●不適切保育が確認された自治体9%
![不適切保育](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/06/Screenshot_20210613-171520_Office-1-1024x506.jpg)
●1年で340件以上確認
●そのうち9割は適切な対応をしている
●自治体の8割は不適切保育防止のガイドラインなどを作成
![不適切保育](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/06/Screenshot_20210613-171023_Office-1024x848.jpg)
●不適切保育の内容は
罰を与える、脅迫、人格否定など。
![不適切保育の内容](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/06/Screenshot_20210613-171539_Office-864x1024.jpg)
これを多いと思うか、少ないと思うか?というところですね。
![](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/03/通常-3.png)
氷山の一角かなと思います。
7.保育士の行き過ぎた不適切指導であなたにできることまとめ
不適切保育は2020年度に全国調査をしてみたら
実態として少なくない数が出てきました。
(6章)
行き過ぎた指導とは
① 子ども一人一人の人格を尊重しない関わり
② 強要するような関わり・脅迫的な言葉がけ
③ 罰を与える・乱暴な関わり
④ 育ちや家庭環境への配慮に欠ける関わり
⑤ 差別的な関わり
こんな感じで、明らかな虐待も含まれています。
(1章)
不適切保育が行われてしまう理由は
①余裕のなさなどの職場環境による軸
②知識や子ども対応技術などのスキル不足の軸
2つから出てきます(2章)
環境面が理由の場合では
職員個人レベルではやれることは少なく、
施設として、または自治体としての取り組みまで必要です。
(3章)
一方で知識の軸が原因の場合は、
個人レベルでもやれることがあるとお話しました(4章)
ただしそれも施設の体質次第なので、
無理はしないようにということでした。
(5章)
目の前の子どもが不適切な保育をされているのを目の当たりにすると、とても心が痛みます。
そして大問題は、初めは疑問に思ったとしても
その環境に慣れてしまうこと。
そこで慣れてしまう前に何ができるか?
何もできないことも少なくないのですが、
個人の保育士レベルでは無理はしてほしくないというのが私の本音です。
最大頑張っても内部告発するくらいしか無いので、思いつめないように。
![](https://hoiku-pub.jp/wp-content/uploads/2021/03/笑う.png)
ありがとうございました
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