人の行動理由の心理

人間って、その場その場で判断して行動してますが、その行動理由には、傾向というかパターンがあります。

例えば・・

  1. 100%で1000円もらえる
  2. 50%ずつで2000円もらえるか1000円失う

↑どちらか選ばないといけない状況だと、1番の100%の方を選ぶ人がほとんど。

知らずしらず、ハマりやすい心理があるということです。

ジャム
こんにちは、
経験20年の理系保育士
ジャムです。

セラピストでもある私(プロフィール)(@jamgakudoツイッター)の視点から、

価値判断や行動理由の心理

👆今回はこれについて、あなたにお話していこうと思います。

人間なら誰しも持つ性質が、昔から心理学として研究されています。

経験的に「こうなんじゃないかなあ」と思っているいることが、心理学者がちゃんと研究して「やっぱりそうなんだ」となったものは沢山あります。

何年も生きて経験を積んで後悔を重ねながら、または学びながら成長していくのは避けられません。

人生って

あなた
あの時
これを知ってたらな・・

の連続ですよね。

そんなのを先に生まれて研究してくれた人達がいっぱいいるので、それを利用しないのは大きな損と言えます。

ただ難しい論文や、探せば見つかるけれど飛び飛びになった情報はなかなか使えません。

なので元東大理系研究者であり、心理学も大学で学んだ私ジャムが保育士に役立つ心理知識として記事をまとめることにしました。

記事最後には関連した心理効果を総括し、

日常的に気をつけたら確実に子どもにもあなたにもプラスになるようなまとめも書いているので、ぜひ役立ててほしいと思います。

↓保育士の使える心理学の知識はこちら↓

ねこ

1.心理的リアクタンス カリギュラ効果

1-1.カリギュラ効果の一言解説

カリギュラ効果

禁止されたら、逆にやりたくなるといった心理効果。

1-2.保育士として使える場面

カリギュラ効果をねらったものは、世の中を見渡すとたくさんあります。

子どもとのやり取りでも

大人
これやらないでよ〜

とワザと言って、実はやってもらうことを期待したやり取りとかありますよね。

本当に禁止したいことを伝えるときにはカリギュラ効果にならないように、理由を付けてしっかりと説明をしないといけません。

カリギュラ効果は

”禁止されたことをやったらどうなるか知りたい”心理といえるので、

  • やったらどうなるか
  • またその理由は何か?

をちゃんと説明することで回避できます。

1-3.もっと詳しくカリギュラ効果

カリギュラ効果はスラングで、心理的リアクタンスと呼ばれています。

ローマ皇帝カリグラがモデルにしたアメリカ映画「カリギュラ」が語源。過激な内容のため、一部地域で上映禁止になると、皆が映画館に押しかけ大ヒットしたのが由来。

似たところでは、仏教で有名な逸話があります。

お釈迦様のお弟子さんたちが毎日瞑想の修行に励んでいたときのこと。

ある朝、お釈迦様が「いつも瞑想のときは何も考えないようにと言っているけれど、今日は何を考えてもよい。どんな悪いことや淫(みだ)らなことを想像してもよい。ただし、“猿”のことだけは考えないように」と言ってその場を離れられた。


夕暮れになってお釈迦様が戻ってみると、何とそこには瞑想している猿の群がいたという。お弟子さん全員が猿に変身してしまっていたのである。

一日中「猿のことを考えてはいけない、絶対猿のことだけは考えないぞ!」と思いながら瞑想していたため、結局は猿のことばかりを考えてしまい、ついには猿に変身してしまったというのだ。

引用
不安や葛藤
ダメ、考えちゃダメなのに。。

2.プロスペクト理論

2-1.プロスペクト理論の一言解説

プロスペクト理論

人は得をすることよりも、損を回避することを重視してしまうという理論

2-2.保育士として使える場面

子どもの行動を変えたいときに、

保育者
~してくれると、
うれしいな

よりも

保育者
~してくれないと、
自分が損をしますよ。

例えば・・・

心を操作するみたいで嫌かもしれませんが、本当に一度でもやっちゃダメことを教えたい時に使えます。

また物事を決めようとするときにもプロスペクト理論は頻繁に働いています。

なのでメリットを伝えて説得しようとするのよりは、現状維持のリスクとともに伝えた方が人を説得できる確率は上がってきます。

2-3.もっと詳しくプロスペクト理論

解説を細かくすると数学的な話になってしまうので、外部解説記事を載せておきます。

内容的には、

①100%で4000円もらえる
②80%で5000円もらえるけど20%で0円

多くの人が①を選ぶ

①100%で4000円損する
②80%で5000円損するけど20%で0円

多くの人が②を選ぶ

期待値は同じでも、損を避けたい心理が働きます。

詳しい記事→studyhacker

合わない

3.マム効果(沈黙効果)

3-1.マム効果の一言解説

マム効果

相手にとって不利益や、伝えることで自分への悪感情になる情報を伝えることをためらってしまう心理。

3-2.保育士として沈黙効果に気をつける場面

報告事項について、自分の不利になることを言いにくいというのは日常的に経験済だと思います。

それは人間ならだれでも持っている、普遍的な心理だからです。

ですが特に仕事で情報を隠すことは、隠ぺいになることもあるため気を付けましょう。

対抗しなくちゃいけないわけです。

3-3.もっと詳しくマム効果

マム効果(MUM Effect)は

・Mum(沈黙) about
・Undesirable(望ましくない)
・Messages

ある心理実験で、悪い知らせを本人に伝えるか?というものがあったそうです。

結果は悪いことを知らせる人は、良いことを知らせる人の5倍程度だったとか。

でも、実験しなくても経験的に明らかですよね。

気になることがあって、その人がいないところでは好き勝手言えるけど、本人には言いにくいといった感覚のことです。

ジャム
言いにくいことを
ズバズバ言える人の方が

珍しいくらいですよね。

優しい嘘は、本人があるきっかけで知った時に残酷な結果を生むかもしれません。

だから言いにくいことをマム効果に逆らって、あえて言ってあげる。

言った自分へ反発や悪感情が生まれるのを承知の上で。。

こんな「厳しいことを言うのも優しさのうち」、ととらえられる元になる心理効果と言えます。
 

怒られてなく
厳しいのも、優しさのうち

4.コンコルド効果(埋没費用効果、サンクコストバイアス)

4-1.コンコルド効果の一言解説

コンコルド効果

それまでかけてきた苦労や時間を惜しんで、続けていくとさらに損失が拡大する可能性を分かっていながらもやめられないという心理状態。

損切りできない心理と言います。

4-2.保育士として使える場面

はじめの一歩さえ踏み出してもらえたら、コンコルド効果によって途中で投げ出すことは難しくなってきます。

だからそこを狙って

保育士
ここまでやったんだから、
もう少し頑張ろう

といった声掛けを無意識に使っていると思います。

はじめの一歩さえやる気になってもらえたら、子どもへの声かけのきっかけにできますね。

やりだしたら最後まで、というのは何かを後押しする理由には自然だからです。

逆に効果のないことに時間を費やしている。

この先も見込みがないけど、コンコルド効果が理由でやめられないといった状態は、仕事で起きがち。

恒例の行事を「毎年やってるから」だけの理由で時期が来たら自動的にやるようなこと、保育現場ではあるあるですね。

抗うべき状態でしょう。

猫

4-3.もっと詳しくコンコルド効果

昔コンコルドという音速飛行の旅客機が、開発着手から何年も完成しなかったそうです。

完成したらしたで維持コストがかさみました。途中で辞めるという選択肢もあったはずです。

しかしそれまでかけてきた費用などを考えて、なかなか撤退できなかった、という事例から名づけられています。

コンコルド効果という通称は、英仏共同事業として運航された超音速旅客機の名称に由来する。

コンコルドは1969年に開業して、たいへんな注目を集めはしたが、採算が取れないまま1976年に機体の製造を終了、その後も商業的に成功する見込みがないまま2003年まで運航は継続され、墜落事故を契機にようやく運航停止が決定された経緯がある。

Weblio
コンコルド
コンコルド

今までやってきたことを捨てるのに、抵抗を感じるのは人間の普遍的な心理といえます。

ですが続けていたらよくないことには、きっぱりとけりを付けて、浮いた時間やお金を別の対象に充てるという冷静な判断が必要になりますね。

よくある例はゲーム課金。

一度でも課金するとやめられなくなる心理は、コンコルド効果が原因。

3000円くらいのガチャを一回やってしまうと、「2回目は〜ボーナス」みたいのにハマっていく。

結果的に損失が膨らんでいくことになります。

ゲーム課金

5.ブロークン・ウインドウズ現象 (割れ窓現象)

5-1.割れ窓現象の一言解説

割れ窓現象

軽微な犯罪を取り締まらないでいると、どんどんエスカレートしてくるという理論

有名な理論なので犯罪だけでなく、「小さな何かを放置しない」という意味で色んなケースに使われています。

5-2.保育士として使える場面は環境設定

子どものいる環境は、特にブロークンウィンドウズ現象に気をつけたいところ。

なぜなら、子どもの行動は簡単にエスカレートしてしまうから。

☑小さな片付けを声掛けないと、次第に何もしなくなってくる。

☑小さなゴミが床にあると、どんどん散らかってくる。

保育者はある意味環境の管理人なので、小さなほころびも見逃さないように保っていきたいところ。

大人の働く職場管理も同じことで、言葉遣い一つも馴れ馴れしさから礼儀・気遣いが失われる。

直したいと思った時には、元に戻すのに相当な時間と労力がかかってしまいます。

苦手

5-3.もっと詳しくブロークンウィンドウズ現象

アメリカの犯罪学者ジェームズ・ウィルソンとジョージ・ケリングが発案した理論。

「建物の窓が割れている状況は、犯罪に配慮していない場所という意識を増長させ、犯罪発生率を増加させる」というもの。

この理論を元に、様々な都市が取り組んで成果を出しています。

東京都足立区↓

東京都足立区は、東京都でもっとも治安が悪いとされていたが、割れ窓理論に基づいた「ビューティフル・ウィンドウズ運動」を実施。

それにより、刑法犯罪認知件数総数減少の効果が見られ、2019年の刑法犯罪件数はピーク時と比べて8割も減少した

足立区

6.エメットの法則

6-1.エメットの法則一言解説

エメットの法則

やることを先延ばしにして後でやると、余計な時間と労力がかかるという法則

6-2.保育士として使える場面

保育士というよりも、どんな人にも当てはまる行動についてのマインド。

後回しにしないで、思いついたら今やることを習慣にしてしまうのが楽です。

そのためには、いつ仕事が降って湧いてきても対処できる余裕がないといけません。

実は余裕とは、

  • 後回しにしないこと
  • 迷わないことなど

コツを抑えたら自然に生まれてきます。

タイムマネジメント

6-3.もっと詳しくエメットの法則

①仕事を先延ばしにすることは、片付けることよりも倍の時間とエネルギーを要する。

②先延ばしにする原因の1つは、完璧さに対するこだわり

この本で書かれています。
リタ・エメット「いま、やろうと思っていたのに」

今やらないことでの余計な労力とは、

  • 覚えておき
  • 期限が迫ることでの焦り
  • 今覚えているのを後から思い出す

後回しにするだけで、こんなに余計な力が必要に。

ジャム
夏休みの宿題は
夏休み前に全て終ってました。

先延ばしにするマインドは、
持ってませんよ。

7.パーキンソンの法則

7-1.パーキンソンの法則一言解説

パーキンソンの法則

与えられた時間を、仕事量に関係なくいっぱいまで使ってしまう心理現象

7-2.保育士として使える場面

子どもに対してより、保育者の働き方において注意が必要な法則です。

●会議時間を一時間用意してしまうと、早く終わる話し合いも結局一時間全て使ってしまうとか。

●一時間でやってね、と余裕を持たせたつもりで仕事を頼むと、本当は30分で終わってたはずなのに一時間全てかけてしまうとか。

余裕をもたせすぎるのも、ものを頼む場合は考えもので、相手の能力を、ちゃんと把握する必要があります。

また自分自身でも、余裕のある時の時間の使い方を身につけましょう。

具体的には余裕があるからと言って、やらなくてもいい作業を無理やり探して時間を浪費するのでなく、余裕時間は勉強に当てるのがベストだと思います。

7-3.パーキンソンの法則を詳しく

パーキンソンの法則


1958年、英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソン(英語版)の著作『パーキンソンの法則:進歩の追求』、およびその中で提唱された法則である。役人の数は、仕事の量とは無関係に増え続けるというもの。


第1法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する


第2法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

ウィキペディア

わかりやすい例としては

どんなに大きな冷蔵庫を買っても、必ずいっぱいになる。

あると思っている余裕が、いつの間にかなくなってしまう原因がパーキンソンの法則。

時間の余裕を作ることは、早く終わらせられる人の能力を発揮できなくするかもしれません。

また、「仕事は忙しい人に頼め!」という話、聞いたことありますか?

ガンガン仕事を振ってたらキャパオーバーになるだけなので、忙しい人は優秀だから無茶ぶりにも答えてくれるといった意味じゃないですよ。

本質はパーキンソンの法則です。

余裕があるかないかギリギリのラインを見極めると、最大のパフォーマンスを発揮できる可能性が出てくるという話。

ジャム
いつもギリギリだと疲れちゃうから、そこは考えどころです

8.行動理由などに関連した保育士の心理知識まとめ

子どもの行動で禁止事項がある場合は、カリギュラ効果に注意。ダメな理由と、やったらとうなるかを分かるように話して聞かせることが大切です。

また子どもの行動を促したい場合は、得することや将来的な不利益を訴求するよりも、すぐにでも起きる不利益をちらつかせた方が効果は高そう。
(プロスペクト理論)

また少しでもやってみたのなら

保育士
「せっかくだから続けようよ」

と行動を促しやすくなりますね。
(コンコルド効果)

環境整備も大切で、小さなことを放置していると子どもの行動はエスカレートしてきます。
(ブロークンウィンドウズ現象)

職業人としての保育者自身が気をつけることは

●悪いことの報告をためらってしまう心理効果
(マム効果)

●先延ばしにしてしまう性質や(エメットの法則)

●余裕を持っているつもりでいると、いつの間にか余裕がなくなっている状態になる(パーキンソンの法則)

人間は毎日いろいろな判断をしているので、時に流されて後で後悔してしまいます。

この記事で書いたことを知識として知っておくことで、無意識に流されるのではなくちゃんと対抗できるようになります。

ジャム
ここまで読んでいただき
ありがとうございました

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