集団になると出てくる心理効果

一人じゃ言わないのに、なんで集まるとそんなことするの!?

子どもを見ててもそうだし、大人でも集まったり人が多い中で匿名になった途端にダメになるのはよく見ますね。

集団になると出てくる人間の性質はいくつかあり、集団心理と言われています。

それを知っていることで、もたらされる悪い効果を避けることもできます。

ジャム
こんにちは、
経験20年の理系保育士
ジャムです。

セラピストでもある私(プロフィール)(@jamgakudoツイッター)の視点から、

保育士の知っておくべき集団心理

👆今回はこれについて、あなたにお話していこうと思います。

人間なら誰しも持つ性質が、昔から心理学として研究されています。

経験的に「こうなんじゃないかなあ」と思っているいることが、心理学者がちゃんと研究して「やっぱりそうなんだ」となったものは沢山あります。

何年も生きて経験を積んで後悔を重ねながら、または学びながら成長していくのは避けられません。

人生って

あなた
あの時これを知ってたらな・・

の連続ですよね。

そんなのを先に生まれて研究してくれた人達がいっぱいいるので、それを利用しないのは大きな損と言えます。

ただ難しい論文や、探せば見つかるけれど飛び飛びになった情報はなかなか使えません。

なので元東大理系研究者であり、心理学も大学で学んだ私ジャムが保育士に役立つ心理知識として記事をまとめることにしました。

記事最後には関連した心理効果を総括し、

日常的に気をつけたら確実に子どもにもあなたにもプラスになるようなまとめも書いているので、ぜひ役立ててほしいと思います。

↓保育士の使える心理学の知識はこちら↓

グループ

1.コスチューム効果

1-1.コスチューム効果の一言解説

コスチューム効果

着ている服装に合わせて、意識が変わるという心理効果。

コスプレでも警察官の制服を着ると、なんとなく正義感に沿った行動をするようになりますね。

1-2.コスチューム効果は保育士としてよく使ってる

子どもに役割を与えて、やりがいや主体性なんかを持ってもらう働きかけがあります。

それを明確にするのが服装というわけです。

なにかの当番や役割をしてもらう時には、服装やワンポイントでも他と違うものを身に着けることで子どもは気分が変わります。

名札をつけるとか、役割意識を持てるアイテムでもやる気が出てきます。

集団内だと何の役割かが、他の子からも見た目でわかりやすくなりますね。

1-3.もっと詳しくコスチューム効果

役割というものを人は理解して集団の中で行動しています。

●自分が何を期待されているのか?

を察してそのとおりに動こうとする。

役割期待とか、役割取得と呼ばれています。

子どもだとごっこ遊びで先生の役とか、赤ちゃんの役とか、遊びの中で役割を理解して演じているわけです。

G.H.ミ ー ドの役割取得行動論と物的対象

コスチューム効果は、役割取得を助長する心理効果と言えます。

服装を変えることで気分を変えやすくしているんですね。

こっちを見る子犬

2.ユニフォーム効果

2-1.ユニフォーム効果の一言解説

ユニフォーム効果

同じ服装をしている人は連帯感を持ちやすいといった心理効果。

仲間意識を持つと、連帯感が生まれるというのもありますが、「はみ出す行為をしにくくなる効果」が際立ちます。

2-2.保育士として使える場面

仲間意識を作ると、

  • 同じ仲間だから仲良くしよう
  • ルールを守りましょう

などのメッセージをより強く伝えることが期待できます。

ユニフォーム効果を狙って同じ服装をし、ほかの人はその服装をしていない場所に出かけていくと、よりはっきりと仲間意識が感じられたりします。

同じ服装でなくても「同じ帽子」とか、同じアイテムを持つだけでも違います。

違う集団の人へ排他的にならないよう、また集団内ではみ出してしまう子への取り組みは別に必要です。

職場でも制服とかエプロンでも同じものを身に着けていると、連帯感が生まれたりします。

自由

2-3.もっと詳しくユニフォーム効果

コスチューム効果もそうですが、身に着けているもの一つで気持ちが変わるという人間の性質です。

結局は気分次第なんですね。

仕事に対する「使命感」や「やりがい」「責任感」を持っている人であれば、ユニフォームを着用するだけでモチベーションが向上することもあります。

ユヅブログより引用

また制服を身につけるだけで所属感が高まり、自尊心が上がったりするのは有名です。

制服についての社会心理学的考察 - J-Stage

やる気

3.内集団バイアス、黒い羊効果

3-1.内集団バイアスの一言解説

内集団バイアス、黒い羊効果

自分の所属している集団員に対しては、甘い評価を下しがちな心理効果。

黒い羊効果は集団内での低評価が、他の人よりもより低く見られ排斥や攻撃を強める心理効果。

3-2.内集団バイアスは保育士として注意

子ども集団では顕著で、よくないことをしている子を「友達だから味方をする」といった行動をとりがち。

同じことをしているのに

  • 集団内の人には文句を言わず、
  • 集団外の人に対して不当につらく当たる

こんな行為もよくみられます。

逆に集団内で低く見られてバカにされてる子は、同じことをしてても厳しく当たられることも。

いじめですよね。

保育者が無意識に加担する場合があるので、よほど気をつけないといけません。

【バカにされる子】【見下される子】【からかわれる子】への支援とは?

職場の雰囲気でも、能力の低い失敗多めな人を不当に攻撃してしまうのは、人間心理に基づいたものです。

やってる立場から抜け出すにはその心理を知ること。

逆に自分が黒い羊(攻撃される側のたった1人)になった場合は転職しか道がなかったりします。

人間関係の悩み

3-3.もっと詳しく内集団バイアス

心理学で〜バイアスとつく効果は、自分がハマらないように要注意なものばかりです。

バイアスとは、☑偏った考えやイメージ、印象のこと。

心理効果によって事実を捻じ曲げてしまうのです。

人が褒められるとなぜか自分がけなされたように感じる暗黙の強化(リンク)のように、相対的な評価が人間の性質にあります。

内集団の好ましい成員が、同じ程度に好ましい外集団成員よりも高く評価され、内集団の好ましくない成員が、同じ程度に好ましくない外集団成員よりも低く評価されるという現象

「内外集団の比較の文脈が黒い羊効果に及ぼす影響ー社会的アイデンティティ理論の観点からー」

内集団バイアスは、能力の高い人も低い人も、集団の質を上げ下げする要因とみなされるため、扱いが変わってきます。

結びつきが強かったり、集団に属しているのに誇りを持ってたりすると出やすい傾向があります。

ちなみに


Black sheep(黒い羊)意味

「のけ者」「やっかい者」「見捨てられた者」「変わり者」

ほとんどの羊は白いのに、他とは違うのは黒い羊ということが由来です

sandwicheikaiw
羊

4.同調圧力と同調効果

4-1.同調圧力の一言解説

同調圧力、同調効果

集団に所属すると安心感を得るのは同調効果といいます。

同調圧力とは、それに強制力や拘束力が発生してしまったもの。

共通点から外れる行為をすると、一転して仲間からの攻撃にされされる。

安心感を得ると同時に、それが失われると大きな不安感にさらされるため、抗いにくい心理効果です。

4-2.保育士として使える場面

集団から外れる行動をしにくくなり、グループ内のメンバーが互いにけん制しあっている状態といえます。

悪い方向に進むといじめの連鎖、極端な例が戦時下の日本のような状態。

集団から距離を置き、客観的な視点になると冷静に行動できるようになります。

子どもの社会は狭いので、今いる集団だけが世界の全てですよね。

自分からは出られない狭い世界から出してあげるのが、大人の役割です。

保育者として気をつけたいのは「みんな一緒」を強調するあまり、全員で何かをすることが目的になってしまうこと。

保育ってそうじゃありませんね。

個人のために集団があるわけで、社会福祉で必ず習うグループワークは「グループ活動を通して個人の支援を行うもの

そう、みんなでやるのが目的じゃないんです。

でも「みんなで」を強調すると、従わない子を排除する同調圧力が出てくるので要注意です。

似たようなところで「多数決にしましょう!」も考えどころです。

仲間外れ

4-3.もっと詳しく同調について解説

同調圧力は

少数意見を有する者に対して、暗黙のうちに多数意見に合わせるように誘導することを指す。

ウィキペディア

少数派排除の傾向とも言え、また自分こそ正しいと思い込みやすい人間の性質も関わってきます。

最たるものは自粛警察みたいな行動。

集団に取り込まれていることで安心感を得て、外れる人を攻撃することでのみ自分の存在意義を感じる。

自分の心にも気づいていない、幼稚で浅はかな行為と言えます。

ジャム
空気を読んでいるつもりで、
取り込まれているだけです。

5.集団思考(集団浅慮)

5-1.集団思考の一言解説

集団思考

集団でいるときに、危険・浅はかな思考や行動が容認されてしまう心理

具体的にはデマや流言、一人ではやらないのに集団で叩くような行為です。

  • リスキーな選択や
  • 極端な安全思考など

↑普通だと考えられないような結論や状態に、集団でいるのになってしまうこと。

5-2.保育士として気をつけたい場面

みんなダメだと思ってるのに、他の人は賛成してると思って口にしないで結局決まってしまう状況。

子どもは言いたいことを基本的に言いますが、気を遣って言えない子も中にはいます。

年齢が上だと「いじめの黙認」みたいのもこれに当たります。

場の空気に流されて愚かな決断をしたり、消極的に容認したりするのが人間の性質です。

保育現場で子ども対応のケース会議なんかよくしますが、変な決定がなされないように。

ジャム
これも要注意です。

5-3.もっと詳しく集団浅慮

集団思考はもともとはアメリカの心理学者ジャニスが、戦争に至ったときのアメリカ高官の会議などを分析して発表したもの。

  1. リーダーシップが高い人が主導している
  2. 専門家だから正しいという自信
  3. 外部から切り離されている

こんな状況で特に集団浅慮が起きるので、「敢えて反対意見を言う役割の人を作る」も有効と言われています。

例えとしてアビリーンのパラドックス↓

ある八月の暑い日、アメリカ合衆国テキサス州のある町で、ある家族が団欒していた。

そのうち一人が53マイル離れたアビリーンへの旅行を提案した。誰もがその旅行を望んでいなかったにもかかわらず、皆他の家族は旅行をしたがっていると思い込み、誰もその提案に反対しなかった。

道中は暑く、埃っぽく、とても快適なものではなかった。提案者を含めて誰もアビリーンへ行きたくなかったという事を皆が知ったのは、旅行が終わった後だった。

ウィキペディア

誰も望んでなかったのに、「みんな行きたいだろう」と空気を読んだ結果。

「本当にアビリーンに行きたいのか?」の疑問を各自が持って、ちゃんと口に出すのが対策です。

【子どもの同調圧力と集団心理】みんなでする悪い行動への対応策3つ

似たところでは全会一致の幻想というものもあります。

グループの結束を乱したくないという思いから反対意見を言わず、結果的に全会一致のように見える。

三人寄れば文殊の知恵というのは間違いという論文も見たことがあります。

優秀な人がいても、集団に潰されてしまうという結果でした。

図解雑学 社会心理学

6.リンゲルマン効果(フリーライダー現象、社会的怠惰)

6-1.リンゲルマン効果の一言解説

リンゲルマン効果

社会的手抜き現象ともいわれ、たくさんの人で作業をしていると一人当たりの作業量や効率が下がってしまうという現象。

6-2.保育士として使える場面

年齢の低い子どもではそう目立つ効果ではありません。

注意すべきは保育者自身のこと。

たくさんの人がいると、知らない間に人任せになっています。

人を動かす立場だと、人を投入すれば早く済むと思いがちですが、間違いだということをリンゲルマン効果が示しています。

社会的手抜きを防ぐには、可能な限り余計な人員を投入しないことが有効です。

特に「作業的な仕事」については、人を単純に増やしても効率は上がらないという心理実験もあります。

ジャム
よく考えて
仕事を割り振りましょう。

6-3.もっと詳しくリンゲルマン効果

リンゲルマン効果の名前はフランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンに由来します。

彼(リンゲルマン)が実験したのは、綱引きや荷車を引くこと、回転するひき臼のバーを押すことなどであった。

実験の結果、1人の力を100%とした場合、集団作業時の1人当たりの力の量は、2人の場合は93%、3人85%、4人77%、5人70%、6人63%、7人56%、8人49%となった。

『人はなぜ集団になると怠けるのかーー「社会的手抜き」の心理学』釘原直樹 著より

分かっていても無意識の心理なので、抗うのは難しい。

ならそのような状況を作らないこと考えるべき、というのがリンゲルマン効果への対抗手段となっています。

個人ではなくチームで目標を最短で達成する「スクラム」という手法が仕事の進め方にあります。

そこでは個人の仕事を透明化して、チーム全体の成果を上げる。

得意な人が得意なことをやり、個人で滞っていたらすぐに分かる。

こんなシステムを入れることでも、リンゲルマン効果を阻止できそうです。

スクラム

7.集団の中にいると出てきてしまう、保育士の知っておくべき人間心理まとめ

連帯感や一体感を得ることは、

  • 仲の良さやメンバーへの寛容さ、
  • 集団内のルールを自主的に守ること
  • 治安もよくなる

こんなことにも関係してくるので、適度にあった方がよいものです。

同じ目標を目指すとか、ユニフォームや小物を揃えて作るなども許されるなら検討してもいいでしょう。

集団内では仲良しグループが出てくるのは当然。

なので、小集団の集合としてのクラスというよりはより大きな枠を日ごろから意識してもらうのが効果的です。

言葉だけでなく何か取り組みができるといいですね。
(ユニフォーム効果コスチューム効果)

他方で集団内のメンバーへの評価は、他人よりも余計に高くなったり低くなったりする心理効果もあります。

高い分にはプレッシャーに、低い分には黒い羊効果でいじめにもなりかねません。
(内集団バイアス同調圧力)

また作業をすれば人がいるとサボりがちになったり、
(リンゲルマン効果)

三人寄れば文殊の知恵と、思いきや集まるほど愚かな決定や雰囲気になってしまうことも。
(集団浅慮)

そういった心理が人間の性質と知ることが、集団の悪い効果を防ぐ第一歩。

子どもだけでなく、保育者自身も気をつけたいところです。

ジャム
ここまで読んでいただき
ありがとうございました

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