アレルギー対応理由を知ろう
あなたの悩み状態は
・アレルギー対応ってやる意味あるの?
・対応は分かるけど理由が分からない
・アレルギーについて知識が足りない
・調理職員に任せておけばいいわ
こんな感じでしょうか?
経験20年の理系保育士
ジャムです。
セラピストでもある私(プロフィール)(@jamgakudoツイッター)の視点から、
【保育士はアレルギー対応だけじゃなく、正しい知識を知っておくべき】
👆今回はこれについて、あなたにお話していこうと思います。
あなたはこの記事を読むくらい意識が高いので、違うと思いますが、
世の中的にはアレルギー対応を
「言われたからやってる」
保育士さんばかりで、マニュアルを変に解釈してる方は私の体感で半数を超えます。
アレルギー対応マニュアルを見直そう!と集まった人でも同じというのが危ないところ。
保護者からは
アレルギーかわからないけど、
私もアレルギーだからこの子もきっと同じ。だから食べさせないでください
検査した数値が高かったから、
症状とか出たことないけど
念のため食べさせないで
↑こんな要望もしょっちゅう来ますよね。
知識を持ってないと全部受け入れることになり、余計な仕事が増えてしまう。
また正しい知識がないと、情報を持ってる保護者からは「こんなことも知らないの?」と信頼を失う。
だからこの記事では、正しい(と2021年時点でされている)アレルギー知識やメカニズムを分かりやすくお伝えしますね。
子ども対応のスキルや考え方はこちら👇
1.保育士はアレルギー対応だけ知っててもダメな話
アレルギーの正しい知識がないと
・なんかヤバそう
・言われたことは全部対応しなくちゃ
でもアレルギー対応は細かくやればいいというわけじゃなく、
やることを増やすほど、ミスが増えるというのがセオリー。
それに正しい知識がないと
●小麦アレルギーで食事の場面だけは気をつけるけど、小麦粉粘土はスルー
●ピーナッツアレルギーに対して、落花生をスルー
こんなことが起きます。
また成分表示の「同一ラインで作られています」に反応し、本来食べられるものを何となく外して、不当に制限するのもよくあります。
私は小さい頃ぜんそく持ちでしたが、
エビやカニが危ないらしいから食べるな!と
急に制限されたことあります。
今なら虐待です。
アレルギー対応というのは、知識や根拠を元に決められた枝葉なので、
そこだけを知っていて対応するのは、あまりに危ない。
でも厚生労働省なんかが出してる冊子は分厚くて情報も多いため、覚えきれませんよね。
だから私が、以下で分かりやすくお伝えしていきます。
2.知らないと的外れ対応になるアレルギー反応とメカニズム
2-1.アレルギーは免疫反応の一部
アレルギーは免疫の異常と考えられてきましたが、新説では異常ではなく通常の反応が体に害を及ぼしているような状態(免疫が行き過ぎた状態)とのこと。
私たちの体には、細菌・ウィルス・寄生虫などの感染性微生物や異物などから、身を守るための「免疫」という仕組みがそなわっています。
国立成育医療研究センターホームページより引用
この免疫の働きが、現代文明による環境やライフサイクルの変化によって異常を起こし、くしゃみ、発疹、呼吸困難などの症状を起こしてしまう状態が「アレルギー」です。
体には異物を排除しようとする免疫作用がありますね。
体以外の物は、基本的には全て異物です。
皮膚についたり、食べたりで認識され、危険と判断されると炎症を起こします。
傷口についたらすごく痛かった。
危険!排除!
よく覚えとこ。
次に来たときこの働きによってやっつけられる。
やっつけるときに炎症や反応が出ますが、これがバイ菌じゃなくて食べ物などに出るとアレルギー反応。
体に入ってきたタンパク質にたいして、これは外から来たタンパク質だと認識されると、体内に特異的IgE抗体というのが作られます。
たんぱく質って、動物タンパクとか植物タンパクとかいちいち区別ができないので、とりあえずマークするために特異的IgE抗体ができます。
次回やってきたら「危険物質」と認定されているので、免疫反応として
●炎症を起こしてそこに血液を集め
●白血球などがやっつけるようにする
●結果的に赤みや腫れ、発疹
●かゆみ物質も出るから痒い
●粘膜だったら液体(鼻水とか)を出して洗い流そうとする
一方で、食べ物も異物なんですが、
食べ物と認識されれば大丈夫になります。
栄養になるのか、
大丈夫だと覚えておこう!
食べたものについてはIgG4抗体が作られることが知られていて、特異的IgE抗体の働きを抑えるものです。
①体についたタンパク質は、怪しい認定されてマークされる(特異的IgE抗体が作られる)
↓
②だけど体内に入った栄養として使えた食べ物は、IgG4抗体が作られる
↓
③特異的IgE抗体はあるけど、IgG4抗体で無効化。
結果的に食べ物を分解して、栄養として使える。
2-2.アレルギー検査の数値が高いってよく聞くのは・・
今のアレルギー検査は特異的IgE抗体を調べることが一般的。
つまり「マークされているか?」だけ調べ、無効化されてるか?は手間であまり調べない。
皮膚の弱い赤ちゃんや幼児が食べカスなんかに触れ、知らない間に特異的IgE抗体が作られる。
↓
検査をすれば抗体反応が出る
↓
何かあったら困るわね、と食べさせないようにする
本当に食べたら発症するか?を調べないといけませんが、手間もかかるし専門医がやらないとダメなので、なかなかやらないみたいです。
理論的には食べないと体が食べ物認定しないので、IgG4抗体ができず、いつまでも食べられないことになります。
症状が出る前からの食事制限で、将来の発症を予防することはできない、というのが現在の主流な考え方です
外部記事より引用
3.保育士が目にしやすいアレルギー症状の分類
3-1.食物アレルギー
食物アレルギーによる症状は
即時型
遅延型
口腔アレルギー症候群
食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
即時性
食べて二時間以内に発症するもので、一般的に食物アレルギーと認識されているものが代表的なものです。
遅延型
症状自体が様々でとても多く、場合によっては原因食物を避けても数週間から数ヶ月間も症状が続く事もある。
原因である食べ物になかなか気付かないのが特徴で、保育士では分からないでしょう。
口腔アレルギー症候群
野菜や果物が原因で、口がピリピリする、イガイガするなどの訴えがあるもの。訴えられない幼児は分かりにくい。
パイナップルとかで多いです。
南国フルーツ系は花粉症との交差反応(似た者同士)でなりやすい。
出てくることが多くなります。
食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
食物と運動が合わさると発症するもので、小麦と甲殻類がほとんどの原因と言われています。
幼児期は運動強度が低いため出ず、学童以降~中学生で出てきます。
だいたい6000人に1人との統計データがあります。日本医師会PDF
重篤化しやすく、それまでアレルギー症状なんて出たこともなかった中学生が、
そばを食べてマラソンをしたら初めて発症してそのまま亡くなった、という事故もたまに起こっています。
3-2.食物ではないアレルギー
花粉症
ある程度成長してから、大量の花粉を吸い込むことで花粉症となります。
金属アレルギー
汗などで金属が溶け出し、体の中のタンパク質と反応して新しいタンパク質となることで、それに対して特異的IgE抗体が作られるとなるそうです。
運動性のアレルギー
運動してだけで発症するアレルギー。
運動により、一般的にヒスタミンという物質が作られます。
ヒスタミンには筋肉を収縮させたり、毛細血管を太くしてそちらに血液を多く回すことで体全体のの血圧を下げる作用があります。
大量にヒスタミンが出てくるとその効果が過剰、全体の血圧低下でショック症状となり、これがアレルギー反応のアナフィラキシーとなります。
数値化できない部分で
気を使うので
対応が難しいです。
蜂毒
一度目に刺されたときに抗体が作られ、2回目に発症します。
ハチ毒もタンパク質からできています。
最近はヒアリが話題ですが、蜂毒と似ている構造のため、海外では頻繁に起きているそうです。
それ以外には虫、動物、薬品、ラテックスなどさまざまな素因があります。
3-3.ぜんそく
アレルギーに関連しての疾患としてぜんそく。
これはアレルギーにより体内の、主に気道粘膜が炎症を起こすことが原因の一つで、アレルゲンはダニやハウスダストが多くなります。
運動誘発性で発症するぜんそくもありますが、運動性のアレルギー発症と同じようなメカニズムです。
気道が炎症で狭くなるため、呼吸がしにくくなります。
苦しいです。
4.アレルギー症状は次も同じか分からないので思い込み厳禁
個人でよく出るアレルギー症状はだいたい決まっているけど、次も同じ症状が出るとは限りません。
同じ食べたものでも、体調によって出たり出なかったり。
参考のために「今まで出たことのある症状」を聞いても良いけれど、囚われてはダメです。
よくあるアレルギー症状としては
- 皮膚(赤み、むくみ、じんましんなど)
- 呼吸器(息苦しいなど)
- 消化器(腹痛、吐き気)
- 血圧低下(頭痛など)
などがあげられます。
体の中で異物を追い出そうとして炎症が起こり、そこに血液が集まることで
●皮膚なら赤みを帯びたり、
●呼吸器だと気道が腫れて空気が通りにくく
●消化器だと内部の違和感など
中でも血圧低下は毛細血管が広がることで、メインの血管内の血が少なくなることで起きます。
脳の血が足りなくなり意識も低下していきます。
全身で起きるとアナフィラキシーショック、
聞いたことがあると思います。
血圧を上げる薬がエピペンですが、アレルギー症状の血圧低下だけを何とかするだけなので、効いてる間に次のアクションをしないと危ないわけです。
アナフィラキシーと、アナフィラキシーショック
アナフィラキシーとは複数の症状が重なったものと定義されていますが、実際には意識低下など重篤なアナフィラキシーショックを指すことが多いです。
アナフィラキシー(英: anaphylaxis)とは、原因物質(抗原)により感作される準備期間の後、その原因物質が再び生体に接触することで引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応
ウィキペディアより引用
5.対応を間違えやすいアレルギー関連のよくある事例
アレルギー発症のメカニズムや種類をお話してきたので、何に気をつけたらいいのか分かってきたと思います。
アレルギー対応でよくある間違い
☓食べなければ大丈夫
→体が覚えているので、敏感な場合は触ってもダメ
☓いつも同じ症状が出る
→そんなことはありません
似た者同士でアレルギーが出る
→花粉症の子はマンゴーやパイナップルなどで、体調次第でアレルギー症状が出たりします
食べ物除去でよくあるミス
名前を知らずに誤配食
→牛乳アレルギーなのに、ミルクやラクトアイスなどの表示を見逃すとか、ピーナッツ除去して落花生スルーとかよく聞く話。
知らない成分表示は調べておきましょう。
「同一ラインで製造しています」を危なそうだからやめておこう
→対応としては○
この表示はコンタミの危険があることを示してるだけで、どの程度かは分かりません。
隣の鍋で作ってるかもしれないし、広い工場の端と端かもしれないし、ラインを洗っては使い回してるかもしれません。
6.保育士はアレルギーの知識を持って対応するまとめ
アレルギーは、外からやってきたバイ菌をやっつける免疫反応が、本来は害がないものに作用してるもの。
外からやってきたもの(タンパク質)に対して、
基本的には体内では特異的IgE抗体が作られます。
食べ物も異物ですが、
①体についたタンパク質は、怪しい認定されてマークされる(特異的IgE抗体が作られる)
↓
②だけど食べて体内に入った栄養として使えた食べ物は、IgG4抗体が作られる
↓
③特異的IgE抗体はあるけど、IgG4抗体で無効化。
こんな流れで食べ物は食べ物認定されるわけです。(2章)
アレルギー検査でよく聞く「数値が高かった」というのは、例えば卵に対してのIgE抗体が高かったこと。
無効化するIgG4抗体は調べてないので、食べられるかもしれない。
数値が高いのと食べたらアレルギー反応が出るか?は別の話です。(出る可能性があるという話)
アレルギーには食物アレルギーだけでなく、金属やハチ毒、また運動しただけで出るものもあります。
(3章)
症状もだいたい決まっているとはいえ、次は別の症状が出るかもしれません。
(4章)
アレルギー対応として形だけチェックシートなどを使って行っても意味が分からないし、気をつけるポイントもズレてしまうのですが、
あなたはアレルギー反応のメカニズムを知ったので、対応の本質を知れたと思います。
ありがとうございました
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